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2011/10/03

パリ・スイスの水

16日~25日パリとスイスに行ってきた。
12月のルーブル展に出品する準備の為の旅だった。
パリは一年ぶりだが、ホテルでの水の硬さに閉口した。
入浴後の身体全体の皮膚が突っ張ってくるし、
顔のあちこちの皮膚がカサカサになり皮がむけてくる。
なるほど、だからオイルを多用するのだと納得した。

スイスでは節子さん(※1)のご自宅「グラン・シャレ」に御招きいただいて、
勿体なくも2晩泊めていただいた。

話題も多岐に亘り、夜遅くまで楽しく話し合いができた。
やはり外国の一流社会で一生懸命生きてこられた方の
お話しは身に滲みてくるものがある。

彼女の素晴らしさは50年にわたる外国生活の中で日本を忘れず、
日本人の豊かな精神性を大切に暮らしてこられたことだろう。
今でも日常はお着物で暮らされていて、犬の散歩も着物姿である。

彼女曰く、今の日本の着物はよそ行き用になっているが私の着物は普段着なのと仰る。
確かに日本の昔は日常が着物だった。
お台所も、お掃除も、庭仕事もみんな着物でした。

グラン・シャレではいっぱいのおもてなしを受けた3日間だった。
彼女の住む所は山の中腹にある村でした。
そこには透明な空気と鮮やかな色の草花に囲まれた素晴らしい暮らしがありました。
道には枯れ草の一枚も落ちていないきれいな村でした。
個人の家の一軒一軒が花に満たされ、まるで家の品評会でそれぞれが競って手入れをしているようでした。
何故これほどまでにするのかと聞きますと、その根っこには水がありました。

高地だからよく雨が降る、何物にも汚染されない。
従って空気がきれい、草花の色が際立って美しい。
日頃がそのような環境だから、こころもきれいになる。
そこでの暮らし方もおのずからきれいに、美しくあろうと心掛ける。
すべてが良い循環で流れている。
水の澄むところ、人も清らかになれる。その手本を見せつけられた。

※1 節子さん: 節子・クロソフスカ・ド・ローラで検索してください。