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2011/08/20

森の真実を見る

久しぶりに川に行ってきた。
山に深く入っていく、木々の緑が生い茂り空さえ見えない。
そういうところは空気も爽やかで気持ちよく胸いっぱいの呼吸ができる。

道からかなり深いところに川の水が渦巻きながら流れて打楽器の音を響かせている。降りやすい所を見つけ道具一式を持って川まで降りて行く。
デッキチェアー・毛布・食料・お湯のポット・本を抱えてゆっくり降りる。

そこは小さい砂利で囲われた小さい滝壷。
3メートルほどの落差で落ちる水の音は周りのどんな音も吸収して、
耳を独占する。デッキチェアーに横になり好き勝手な時間を過ごす。
上を見上げると、大小、さまざまな木々が思い思いの枝振りで伸びている。

一つ一つの枝が見事なシルエットを見せて飽きさせない。
大きな岩を大地代わりにして、根を張って見事に成長している木がある。
大木の太い枝が折れ、川の水を堰き止めているが、
その隙間から勢い良く流れている水からエネルギーを感じる。
自然界の素晴らしい生業を目の前に見て、美しいとしか表現できない。
水も木も鳥達も飽きることなく真実を行なっている。

川面を伝って流れてくる風は清涼で、30分も吹かれていると寒くなり、
毛布を被らなければならない。
風さえも風の真実を行なっている。
それらの水や木や鳥や風が今日の森を生かし、
10年後50年後の森を育てている。


写真 重富 豪